シークレットガール
「化粧品と服貸して欲しい」


普段化粧なんてしない、あたしには化粧品なんて無縁だ。


だから男物を借りる時は楓に、女物を借りる時は椿に頼む。


こういうとき、兄と姉が居るって言うのは便利だ。


一々、物たちを揃えなくていいから、、、


「リン可愛いんだから、メイクやお洒落だって自分のためにすれば良いのに」


そんなのをしたところで、見せる相手が居ない。


「いいよ、別に」

「出たよ。リンの口癖」

「何それ」

「リンはいつも「別に」とか「大丈夫」ばっか」


椿は寂しそうな顔をする。


椿にそんな顔をさせるつもりはなかった、、、


あたしは椿から目を逸らすように、煙草に火をつける。

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