籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
カイルの父があのフードの男……そこまで情報を飲みこんだところで、ティアナはあることに気づいて瞠目する。
「父上って、え!? あの男はリオランド王なの!?」
思わず大きな声をあげると、カイルは頷いた。
「そうだ。国王マクベス。この国を破滅に追いやっている超本人だ」
「……」
あれがリオランド王。
そして、エリアルの夫……?
あの男が。
幼い頃から抱いていた憧れが一気に崩れていくような心地に、ティアナは黙り込んだ。
エリアルがあんな笑顔で夫のことを話していたからどれだけ素敵な方かと夢見ていたというのに、それがあの頭のおかしなやつだったとは。
そんなティアナの心に追い打ちをかけるように、カイルは口を開く。
「そして王宮魔導士マルセル」
マルセルの名に、ティアナははっと顔を上げる。
「あいつは、父上の手先だ」
「え……」
カイルの言葉に、ティアナは頭が真っ白になる。
アベルは暗い表情で、何かを考え込むように下を向いた。
「マルセルは本当に、魔導士……なの?」
リュイが静かに頷く。