籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
ティアナは首に手をやった。
そこにはもう頼りだった指輪がない。
指輪を使ってパフィのサファイアの反応を探すこともできないのだ。
おまけにこんな体では、思うままに動くことも難しい。
パフィに対する責任感で大きな口を叩いたが、無力な自分に足元が暗くなるのを感じた。
(わたしは、何もできない……)
今までだってティアナはマルセルとアベルに頼りきりだった。
2人がいなければここまで来ることはできなかっただろう。
自分は一体何ができるというのだろうか。
ティアナが動けないでいると、アベルがティアナを手に乗せたまま、そっと胸へ抱き寄せる。
「俺がこいつを連れて動く。小さい体だからこそ入り込めるところもあるんだよ」
「アベル……」
黙って傍観していたカイルも、宥めるようにディオンの肩に手を乗せる。
「ま、妹さんが心配なのはわかるがこいつはおそらく使えるぞ。父上はまだこの王女を欲しがっているようだから、父上経由でパフィにたどりつけるかもしれない」
それは囮になれということかとティアナが体を震わせると、ディオンがふん、と言って背中を向けた。