籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「やってみないとわからないわ。国だって絶対もとに戻すんだから!」
不安な気持ちを奮い立たせ、ティアナはさらに手を伸ばして前へ進む。
やがて薄明りが見え、急いでそこから抜け出すと明かりの灯った部屋に出た。
「だれ……?」
物音に怯えているのか、掠れた少女の声が聞こえた。
まだ明るさに慣れない目をこすりながら声のしたほうを見上げると、金髪の少女がベッドに座っていた。
エメラルド色の瞳の、マルセルそっくりの女の子。
パフィだ。
「パフィ!」
「小さい女の人……魔法の人形? どうしてわたしの名前を知ってるの」
「今はこんな姿だけど、わたしはコレンタの王女ティアナよ。あなたが病気で寝ている間に会ったことがあるの」
パフィのもとへ駆け寄ると、彼女はティアナをベッドの上へと乗せてくれた。
パフィは首を傾げながら、薄桃色の唇を開く。
「そんな方が、どうしてここにいますの?」
「あなたを助けに来たのよ」
「助けに?」
パフィはまばたきをしたあと、ぷいと顔を背けた。
「いらないわ。わたしはここにいます」