籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「指輪に魔法をかけたのは僕だ。君に渡すために、呪いの指輪を作った」
「え……?」
突然の告白に頭の中が真っ白になる。
戸惑いを隠せず危うく窓から落ちそうになり、マルセルがそれを防いでくれた。
受け止めてくれたマルセルの手から離れながら、混乱する頭を整理しようと額に手を当てる。
「どういうこと? マルセルが? 指輪に魔法を……?」
「王宮に上がってからずっと、それが僕の仕事だったんだ」
「あなたの仕事は、あの守りの鐘を鳴らすことじゃなかったの?」
リュイは確かそう言っていたはずだ。
倒れた王妃の代わりに、魔導士が鐘を鳴らしていたと。
マルセルは首を横に振る。
「マクベス王は王妃が倒れてから、あの鐘には目もくれていないよ」
「じゃあ……」
本当にマルセルは、指輪に魔法をかけていたのだ。
マクベスがティアナに渡し、悲劇を起こしたあの指輪に。
目を見開いてマルセルを見上げたまま動かないティアナに、マルセルは悲しそうにほほ笑みを向ける。