籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「王宮を抜け出すまでずっと、指輪に力を送り続けた。そのせいで君の国は石になり、君に悲しい思いをさせた」
そしてティアナに指先でそっと触れる。
ティアナはどうしたらいいかわからなくて、ただうつむくしかできなかった。
「……あの日、指輪とともに現れた君を見て、僕がしたことは間違っていたと気づいた」
宝石を探したいと言ったあの日。
兵士から逃れるためだとかなんとか言って、マルセルは旅についてきてくれた。
彼はあのときからもう、こうすることを決めていたのだろう。
「家族を助けたいばかりに、君を犠牲にした。もうこれ以上君に大変な思いをさせたくないんだ」
顔を上げると、泣き出しそうな表情をしたマルセルと目が合った。
マルセルはティアナを帰したがっている。
これ以上指輪のことに関わらせず、マルセル一人で責任を果たすために。
ティアナはまっすぐにマルセルの目を見つめた。
マルセルもティアナを見つめ返す。
「……あなたのせいじゃないわ」
ティアナは首を横に振る。