籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~


確かに呪いの指輪を作ったのはマルセルだ。


しかしそれはただ物を生み出しただけにすぎない。


本当にコレンタを石にしたのは、それをティアナに渡したマクベス、そしてそれを使いたいと願ったティアナ。



ティアナの目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。



小さい頃から、宝石に触れては危険だからと花ばかりが咲く庭園に閉じ込められ、たまに訪れるラナやジルが楽しそうに魔法を使うのを見てきた。


いくら試してみても使えない、特別な力。

自分には操ることのできない不思議な力。


どうしたって手に入れられないものだから、魔法なんてなくても楽しむ方法を必死で探していた。




ずっと魔法を使ってみたかった。




悔しかった。



羨ましかった。






「……わたしはずっと、魔法に憧れていたの」





あふれる涙に星がきらめき、頬を伝い落ちる。



その瞬間、ティアナの体がきらきらと輝き、ティアナとマルセルは目をまるくする。


「なにこれ!?」


体中が熱くなり、ティアナは目ぎゅっと瞑って腕で体を抱きしめた。


「……!」


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