籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「大変……!」
「大丈夫。王不在の今、捕らえられても殺されはしない。地下牢に送られるだけだ」
マルセルはアベル達を一瞥すると、ティアナにここにいるように告げて部屋を出て行こうとし、ティアナは慌ててマルセルの腕を掴んだ。
「待って! わたしも行く」
「だめだ。君はここに……」
「マルセル!」
なお置いていこうとするマルセルを、ティアナは険しい目つきで見上げる。
マルセルはきっとティアナたちをこれ以上巻き込ませたくはないと思っている。
指輪のことに首を突っ込むなと前に告げたこと、そして今もティアナをここに残していこうとしていることがそれを証明している。
全部自分のせいだと思い込み、一人でなんとかしようとしていたのだ。
最初から、そのつもりで。
ティアナはマルセルの腕を掴む手に、きゅっと力を入れた。
「あなたはどんな形であれわたしを救おうとしてくれた。わたしも、過去に囚われたあなたを救いたいの」