籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~


まっすぐにマルセルを見て言うティアナに、マルセルは目を見開く。


「ねえお願い。一人で解決しようだなんて思わないで」


胸の奥にとどまったままの熱がまた温度を上げているのを感じた。


「ティアナ」


風も吹かないのにティアナの赤い髪がふわりと舞い上がり、マルセルが焦ったような声をあげる。


「それに、わたしがここでおとなしくしてると本気で思ってるの?」


自分の髪がひとりでに踊っているのにも構わずマルセルを睨み続けると、やがてマルセルは溜息をつき、腕をつかんでいるティアナの手を重ねた。

その瞬間、胸の奥の熱が心地よく収まっていくのを感じた。


「わかった。おいで」


不思議な感覚に戸惑っているとマルセルに手を引かれ、2人で塔を抜け出した。


< 133 / 161 >

この作品をシェア

pagetop