籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~


2人が地下牢へ駆けつけると、まさにアベルとディオンが牢の中へ押し込められようとしているところだった。


「待て。その2人は僕が預かろう」


マルセルの登場に兵士たちはもちろん、アベルも驚いた表情を見せた。


「ですがマルセル様……」


そしてマルセルの後ろにいるティアナの姿を見て、両者さらに目を丸くする。


「その者は?」


「気にしなくていい」


マルセルが杖を振りかざした瞬間、兵士達は地面に崩れ落ちていき、ティアナは小さく悲鳴をあげた。

どうやら彼らは気を失っているようだ。


解放されて自由になったアベルはぐるぐると腕を回しながら、楽しそうな笑みをマルセルに向ける。


「お前にしては乱暴だな」


「もうなりふり構ってられないよ。だいぶ予定が狂ってしまった」


肩を竦めてティアナのほうをちらっと見たので、ティアナはむっと眉を寄せた。


「マルセルがわたしに何も言わなかったのが悪いのよ」


むくれるティアナに、アベルがマルセルを押しのけて顔を覗き込む。


< 134 / 161 >

この作品をシェア

pagetop