籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
冷たい地面に手をつき、苦しそうに言葉を零す。
「許してくれ、エリアル……笑顔を守りたいと誓ったのに、結局俺は……」
打ちひしがれているマクベスに、ティアナは側へ寄って彼の肩に手を乗せる。
「行ってあげて。今ならきっと間に合うわ。エリアルはずっと、あなたを待っているの」
マクベスは黙ったまま地面を見つめていた。
そうしている間にも、輝く欠片が石となった花や建物に降り積もり、まるで夢の中の景色のよう。
やがてマクベスが立ち上がり、ティアナはそっと彼から離れた。
「ありがとう、ティアナ姫。あなたには大変な迷惑をかけてしまった」
「いいの。エリアルはわたしの恩人みたいなものだから……」
頭を下げるマクベスに、ティアナは首を横に振る。
確かにとんでもない迷惑をかけられた。
国や大切な人達が石にされたり、体が小さくなったり、おまけに利用されそうになったり。
しかしそのおかげで得るものもたくさんあった。
マクベスが現れなければ、庭園から出ずにあのまま何もない日々を送っていたことだろう。
そして何よりも、無事にエリアルの想いを届ける手伝いをすることができた。
「石化の魔法を解くには、その指輪に願えばいい。今のあなたにはできるはずだ」
マクベスはそう言いながら、剣を取り出す。
エリアルのもとへ帰るのだ。
マクベスはティアナにもう一度感謝を述べ、最後にマルセルに視線を向ける。
「……マルセル、長い間俺に付き合わせてすまなかった」
「……いいえ」