籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「心配しなくても今回はきちんと招待状をいただいているよ、コレンタ王から直々に」
「え、なんで……」
髪飾りを付け終え、はいできた、と言いながらティアナを見つめるマルセルから、ティアナはふいと目をそらす。
「傷はもういいの?」
「僕を誰だと思ってるの? 国中に名の知られた薬師だよ」
ティアナは思わずくすっと笑う。
「それは知らなかったわ。アベルは元気?」
「元気。アベルなんて仕事で人形の小物をひとつ作るたびに君のことを思い出して家に来るんだ」
「そう……」
ティアナは目を細め、三人で一緒に旅をした日々に思いを馳せた。
「もうあなたのポケットに入れないと思うと少し寂しいわ……それに、あんまり会えなくなるのも」
庭園から出られるようになったとはいえ、ティアナは一国の王女。
簡単には城を出られないし、マルセルは別の国にいる。顔を見ることさえ難しくなるはずだ。
しかしマルセルはティアナの思っていたのとは違う反応をした。