籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「そんな、せっかく出られようになったのに……」
気落ちして肩を落とすティアナにマルセルが一歩近づき、ティアナが顔を上げると、彼はティアナの手を取った。
「そこで僕が呼ばれたんだ。自由に動き回る君に魔法をかけ続ける技術を持つのは僕をおいて他にいない」
「え……」
目を見張るティアナの指に、いつの間にか作り上げていた野花で作った指輪をそっとはめた。
「王様から許しをいただいた。そばにいるかわりに、君を守るようにと」
「……!」
「もう僕から離れられないね」
そう言って微笑むマルセルを、ティアナは見上げた。
「マルセル……」
涙で視界が滲む。
頬を伝うのを感じながら、マルセルを見つめて笑顔を浮かべた。
ティアナの涙が指輪に落ち、野花で作られた質素な指輪がきらめいた気がした。
【end】