籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「なあに? とってもいい香り」
「ハーブティー。これじゃ大きすぎるかな」
「スプーンを使うわ」
スプーンに手をのばしたティアナのお腹が鳴って、恥ずかしそうに手で押さえた。
マルセルは笑いながら机の上の缶を取り、ティアナに開けて見せる。
甘い香りとともに、ティアナの目にたくさんのクッキーが飛び込んできた。
「美味しそう!」
「好きなだけどうぞ」
ティアナは頷き、十分に時間をかけて一枚選び取った。
ティアナからするとクッキーはとても大きく、彼女の体の半分くらいはある。
ティアナはうっとりとクッキーの端を指先で撫でた。
「体が小さいって、なんだかとっても得した気分」
嬉しそうにクッキーにかじりついて食べ始めたが、視線を感じて見上げると、マルセルがティアナをじっと見ていた。
ティアナは口をもごもご動かしながら、クッキーで顔を隠す。
「あんまり見ないでよ。食べているところを見られてたら恥ずかしいわ」
「ごめん、君の首の……それが気になって」
そこでティアナは首に手をやり、指先に触れたものを確かめるように下を向いた。
そして目を見開く。