籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「そうだわ、これよ! これが光ったのよ。そして気づいたら小さくなってここにいたの」
ティアナは首からリングを抜き取り、自分の手元でまじまじと見た。
「これは指輪よ。男の人がくれたの」
「くれた? これを君に?」
ティアナはじっと指輪を見ている。
よく見ると、ピンクに輝く宝石のそばに、くぼみが3つ空いている。
もともとはここにきちんと宝石が収まっていたのだろう。
そして突然ティアナがお得意の甲高い悲鳴をあげ、マルセルは思わず耳を塞いだ。
「耳が……」
「そう! もらったの! それで、わたしはこの指輪を……!」
ティアナは頭を抱え、首を横に振った。
「思い出した。何が起こったのか。皆石になってしまったの」
「石……?」
「ええ。人も鳥も花も、全部……」
再び顔を青くして震え始めたティアナに、マルセルはかける言葉を思いつかず苦い顔をして見守るしかなかった。
マルセルはそうやって何も言わずにティアナの様子を見ていたが、しばらくして誰かが薬屋の扉を荒々しく叩くのが聞こえてきた。