籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
じっとティアナを見つめたまま固まっている彼女を見かねたマルセルが、そっと声をかける。
「この屋敷の者が王宮に連行されたとか」
女性はティアナからマルセルに視線を移し、不安げに上目遣いでマルセルを見つめながら、ええ、と答えた。
マルセルは彼女を安心させるように柔らかい笑みを浮かべて彼女の左手を手に取り、その動作にティアナは顔をしかめる。
「僕たちはそのことで屋敷を調べていたんです」
マルセルが女性に語りかけるのを聞きながら、ティアナはマルセルの体を伝ってベッドの上に降り立った。
「僕の友人も同じ理由で国に連行されました。無理矢理連れて行かれることに納得がいかなくて、助ける方法がないかいろいろな場所を巡って探しているんです」
「まあ、そうだったんですね」
女性はぱっと顔を明るくし、マルセルのほうに身を乗り出した。
「わたしはリゼットといいます。倒れてしまって恥ずかしいわ。運んでくださってありがとうございます」