籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
「国が石になったのはわたしのせいなの。わたしが指輪を使いたいって、願ったりしたから」
「誰がそんなことを」
「……」
「ティアナ姫」
フードの男の声が、ティアナの名前を呼んだ。
「準備ができたら迎えに行くとは言ったが、やはり手元に置いておくことにした。そこの男に、何か余計なことをされては面倒だしな」
男はマルセルを見て、にっと笑う。
マルセルは険しい顔で男を睨んでいて、ティアナは胸がざわめいた。
「いいや、お前に連れて行かせはしない」
部屋から出てきたリュイが杖を掲げて言い放つ。
「わしが残りの力を使ってサファイアのもとへ導こう」
「余計なことをするな」
男が声を荒げ、杖を奪い取ろうとリュイへ掴み掛ろうとする。
「その人に手を出さないで!」
そう言ったときにはもう、ティアナたちは青い光に包まれていた。
男が舌打ちをする。
「リュイさん!」
最後にリュイのにっと笑った顔が見え、ティアナは眩い光に意識を失った。