籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~


女性の案内で青い屋根と白い壁の、おとぎ話に出てきそうな美しい屋敷に案内された。


屋敷の庭には赤や白の薔薇が咲き乱れ、屋敷中を甘い香りで包み込んでいる。



「ディオン様、ディオン様! こちらの方が診てくださるそうです。なんでもお嬢様の病気を知っているそうで」


女性は嬉しそうに言いながら、ある部屋の扉を勢いよく開ける。

中では男性が一人、机で書類の山と向き合っていた。


「ローサ。ノックしろといつも言っているだろう」


ディオンと呼ばれた男性は、不機嫌そうに深い海の色をした髪をかき上げると、羽ペンを置き、立ち上がる。


よく見るとまだ若い。

マルセルたちよりも2つか3つ年上といったところだろうか。


「妹を、診てくれるのか」


「はい。もしかするとお力になれるかもしれません」


「そうか。では、こちらへ」


ディオンは琥珀色の瞳でマルセルたちを一瞥して、屋敷の奥の部屋へと案内した。


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