籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
ティアナは布団の中にもぐりこみ、パフィの体のどこかに例の物がないか探し回った。
そして、見つけた。
彼女の胸元に、煌めくサファイアが埋まっていた。
すぐに、症状を診ているふりをしてベッドの脇に膝まづいたマルセルのそばへ向かい、布団の中から顔を出して彼に耳打ちした。
「マルセル、やっぱり宝石があったわ。薬をお願い」
小声でマルセルに伝えると、マルセルは鞄から薬の入った小袋を取り出し、ディオンに渡した。
「これを彼女に飲ませてください。きっとすぐに回復するはずです」
そう言ってティアナを回収すると、また明日様子を見に来ることを伝え、挨拶もそこそこに屋敷をあとにした。
様子のおかしなマルセルに、ティアナとアベルは顔を見合わせる。
「どうしたの? マルセル」
「いや……なんでもない」
そう言ったが、今のマルセルは明らかにいつもと違う。
「それにしてもあの兄妹、全然似てなかったわね。お母様が違うのかしら」
「……」
嫌な空気をどうにかしたくて発した言葉も、マルセルは完全にスルーして街へと戻り、さっさと宿をとるとベッドに潜り込んで眠ってしまった。