城田くん取扱説明書
「誰もが羨む隣の席がこれじゃあね。
でも、だったらなんで今さら興味持ったの?
【興味なかった】ということは、今は【今は興味ある】ってことでしょ?」
えみちゃんは楽しそうに身を乗り出して聞いてくる。
「いや、えーと。実は説明…。」
説明書が、と言おうとして言葉を止めた。
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注意事項
【この説明書については誰にも話さないこと】
たとえ友達であっても話してはいけません。
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「説明?なによ。」
「あ、あのね、説明……が上手だったの!
数学の説明が!!」
あ、危ない。
【城田くん取扱説明書】についてしゃべってしまうところだった。
「へえ、数学得意だったのね。知らなかった。
まあ、それほど興味ないけど。」
なんとか、誤魔化せた。
危ない、危ない。
ふう、とオレンジジュースを飲みながら安堵する。
「でも珍しい。
特定の女子と仲良くするなんて。」
「ごほっ!な、仲良く?勉強を教えてもらうことが珍しい?」
今度は私がむせてしまった。
えみちゃんが変なことを言うから!