それなのに、やっぱり好きです。
帰りを知らせながら飛ぶカラスを見ていると
授業終了のチャイムが鳴った。
「きりーつ。礼ーー。」
さっきまで寝ていた学級委員の号令に
それぞれが、だるそうに従う。
だけど先生が出ていくと
魔法がとけたように教室に活気が戻る。
おそらくクラスで一番、秋風の魔法にかかっていて
見事なアホ面で寝ていた凛(りん)もその一人。
「さっきの授業、めっちゃねむかった……。」
机の隣でロッカーに靴を履き変えにいく人たちを避けつつ、
そんなふざけたことを言う。
「あんた、ねむいとか思う前に寝てたでしょ。」
持って帰る教科書を選ぶ手を止め、
ため息と共にそう訂正した。