それなのに、やっぱり好きです。
すき
だけど、凛は廊下に出る前に抱きしめられた。
そしてそのまま、王子によって、凛は目の前に強制的に戻ってきた。
「なに泣かせてんの。」
濃色のパーカーに顔を押し付ける、凛の肩が震えてる。
その肩を壊れ物のように優しく抱いていた。
私が泣きついたら、俺の服が汚れるとか言って押し返すくせに。
「……ごめんなさい。凛のこと、大好きだよ。」
精一杯の気持ちをこめて言う。
無駄に苛つく相手の質問は無視して。
濃色のパーカーの中でこくり、と頷いた凛は
「ううん、こちらこそごめんね。
凛も花華が大好きー!」
こっちを振り返って涙で濡れた瞳を細めて、そう返した。
「いい子だな。」
王子もそんな凛の頭を軽く撫でながら、笑顔になる。