それなのに、やっぱり好きです。
その2人の姿はすごく絵になっていて。
まるで最初から2人がカップルであるかのようだった。
…ああ、まただ。
心が締め付けられて、何故か涙が溢れそうになる。
この感覚は、好きじゃない。
「さて、帰ろっと。」
これ以上二人を見ていたくなくて、早口にそう言うと
机の横にかけてあった鞄を取る。
「ごめん、俺、図書室に寄っていくから。」
今日も一緒に帰れないのか……。
「あ、そう。」
軽く返したつもりの相づちが、予想外にも落胆の声音になっていて
それがバレないように、あわてて言葉を付け足す。
「そしたらわざわざ、教室に来ないでよ!!」
そのまま王子の顔を見ずに、足ばやに教室を出た。
後ろ手に扉を閉めて一息つくと、
こらえきれなくなった涙が次々と溢れてくる。