それなのに、やっぱり好きです。


春のうららかな陽差しの中。


校舎裏二人きり。





ふいに強く吹いた風のせいで、俯く頬に桜の花びらがついた。






呼び出された女子生徒はそれに気付き、取ってあげようと一歩近付く。












「僕、初めてキミをみた時から付き合いたいって思ったんだ。」



唐突に花びらをつけたままの男子生徒が言う。








取ってあげようとした女子生徒は、腕を70度ほどあげた状態で固まる。












「俺と付き合わないか」





そう言いながら顔を上げた反動で、花びらがゆっくりと離れ落ちた。





その花びらを目線で追い、地面への着地まで見届ける。








それからゆっくり固まっていた腕をおろし、固まっていた口を開いた。


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