それなのに、やっぱり好きです。
きらい
窓から教室に侵入する風は、
猛烈な眠気をのせてやってくる。
その風と一番相性がいいのは間違いなく世界史だ。
眠気を増幅させる。
犠牲者はすでに36名。
生き残っているのは4名だけだった。
しかも、そのうちの3名はうつらうつらしている。
(みんな、こんなことぐらいで負けるなんて。情けない。)
一番後ろの窓に隣接した席。
そこに座る花華は、少しだけ口元を歪めながらそう思った。
高校に入学して、もう6ヶ月。
仲の良い友達も固定して、今度は学校行事に追われる頃。
「寝るなよー。寝てる奴はどうなっても知らんぞー。」
気だるけな教師の声が響く。
だけどそんなもの、すでに秋風と世界史によって
二重に侵された生徒達には、何の効果もない。