kuro


しかし、あんなに会いたかったくせに三回も見逃すとは。
そして三回も見つけてくれていたなんて。
どう考えたって嬉しい事件だった。

「 おねーさん、僕がストーカーさんになるかと思ったよ。」

そんな。
私は見つけてもらえてこんなに
喜んでいたのに。
否定の意味を込めて首を強く横に振る。


「三回も見逃すなんて。
声かけてくれて凄い.....嬉しい。」


自然と顔が緩む。
微笑んでそう、答えるとくろは目をぱちぱちと瞬かせた。

そうしてから顔をくしゃりとさせて
目一杯.....笑った。


あまりにもその笑顔が可愛くて、
私はまた1つくろのことが知りたいと思った。


「おねーさんは今帰り?」


「そうだよ。」

唐突にくろが私に尋ねた。

「じゃあ、来る?」


「.....どこに?」


「アトリエ。」

「え?」

「アトリエ。おいで....?」


そう言って私の手をとったくろに
付いていった私はなにも悪くない。







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