kuro
今日は二個のマグカップを小さな丸いテーブルにおいて、くろも隣に座った。
くろが座る瞬間条件反射のように姿勢を正してしまう私。
「ビックリしたの?
それとも...緊張してる?」
その言葉にさらにびくりとする。
それが恥ずかしくて顔が一気に熱くなった。
「え.....。」
私はまたくろにからかわれてしまうと思い下を向いて顔を隠してしばらく時が過ぎるのを待った......だけど。
いつまで経っても言葉は聞こえなかった。
そう、くろはなにも言わなかった。
何も言われないなら気にすることはないはずなのに、何故か凄く不安に感じてうつむいていられなくなってしまい、顔をゆっくりあげる。
そこにはフリーズしたくろがいた。
「へ......?」
あまりに予想外のことだったから
しばらく固まったままのくろを
景色のように眺めてしまった、
のがいけなかったみたいで。
くろはソファーに体育座りをして
顔を隠してしまった。
どうしたらよいか分からなくて
おろおろしていると
少しだけ顔をあげてこちらを
ちらりと見た。
「ごめんなさい....?」
とりあえず謝ってみると
またぽすんと音をたててくろが沈んだ。
もう、本当にどうしたらいいんだろうか.....。
心細くなってスカートの裾をきゅっと握って沈黙に耐えていると。
隣からうめき声のような声がして、
髪が勢いよく舞い上がるくらいの速さでくろが顔をあげた。
「ぁーやだぁー.......おねーさん可愛すぎ。」
「は?!」
「ダメ、ヤラレタ。悔しい。」
「悔しいって.....そんな。」
さっきまでの不安が一気にとぶようなインパクトある発言に頭が沸騰しているのがわかる。
ヤラレタ。
のは私の方だ。