kuro
本当に悔しがる素振りを見せるくろに
また温かくなる、くすぐったい気持ちが蘇ってきて年甲斐もなく舞い上がっている自分に気づいた。
恥ずかしい、でも嬉しい。
初めて人を好きになったみたいに
一喜一憂してる。
さよならされたのは私なのに、
何となく彼に後ろめたさを感じた。
「おねーさんは狡い。」
「へ?」
「狡いよ。」
何が狡いのだろう。
くろの方が狡いと思うのだけど。
「僕ばっかり振り回される。」
ほら。
やっぱりくろの方が狡い。
言葉が少ない私に、
沢山の言葉を投げて、
返す前にまた心臓を爆発させようとする。
「そんなの。
くろの方が狡いに決まってる。」
「いや、狡くない。」
「いや、そんなことない。」
「ある!」
「無いってば!」
「あるの!.....って何僕たち立ち上がってまで否定しあってるんだろ。」
どんどん語気が強くなるにつれ
感情が昂り座ってたはずの私達は
二人とも立ち上がっていて。
それに気づいて二人で笑って
ソファーにすとんと座り直した。
「おねーさん位だよ。
こんなに感情的になっちゃうの。」
くろが一頻り笑ってからそう呟く。
私にだけ....?
少し信じられなくて続きを聞こうと
視線を向けるとそれに気づいたくろが話し出した。