kuro

それでも言ってみようか。
少し小さめの声で勇気を振り絞って
言ってみた。


人生最大の、うぬぼれた言葉。


「くろは、私のこと、好き?」


すると目をきょときょとさせたあと
物凄い笑顔でくろが言う。

「うん、好き。一番。
那都より好き。」


「そっか....。」


凄く嬉しい。
激しく嬉しい。可愛い。


だけど、違う。


胸の奥は温かくて、
それこそこんなに幸せなことはない。

でも。

いや、だからこそ。

最高のタイミングを
私たちは逃している。
わかっている。

私は、わかっている。

私は。



「良かった。
解決したね。」



ニコニコするくろに
贅沢な不満が浮上する。

付き合わなくても確かに一緒に
いれるけど。

私は大人だ。
彼も大人だ。


さすがに週に何回かあって食事だけは...


酷だ。



本当はまた抱きしめてほしい、
それ以上も、されたって構わない、
いや、してほしい。


このまままたくろの家に来ることになってもきっと一緒だとわかる。


くろの好きは
きっと私と同じ好きのはずでしょう...??


私は、くろが私のことを好きなら...それだけじゃ嫌かもしれません。






無自覚に私を翻弄する
くろにばれないようにため息をついた。



そしてどうにかしてこの
ニコニコ青年に自分の気持ちを
自覚させたい。


密かに決意を固めたのだった。

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