kuro
泣き出した私に
那都君は物凄く焦って
みかけによらず綺麗に
折り畳まれたハンカチを
渡してくれた。
スヌーピーが色を完全に変えた頃、
私の涙は落ち着いて、
那都君に聞きたいもう1つの質問を投げ掛けた。
「あの、くろは
どうしたら私のことそういう
意味で好きだって気づいてくれると
思う...かな?」
お代わりのコーヒーを注文した那都君は
目を見開き小瓶の中のミルクをすべてコーヒーカップに注ぎきってもそのままのポーズで固まったままだった。
そのコーヒーは最早コーヒー牛乳なのでは....。
長い沈黙が続く。
「あ、のー」
耐えきれず声を発すると
那都君がようやくミルクの入っていた
小瓶をおいた。
「いや、玄斗どんだけだよ。
鈍いとかそういうことなん?
え、おねーさん玄斗に告白した?
てゆーか最早告白みたいなの
俺らの前でしてたよね?
あれ、付き合ってないの?」
とても早口。
「....多分。」
「え!何故!」
「私が聞きたいです。
玄斗に私のこと好き?って聞いたんです。」
「おう。
おねーさんどこぞの魔王カップルみたいなことするね。
勇者だね。」
「魔王?」
「あ、ごめんこっちの話。
それで?」
「?
...好きって言われた。
那都君より好きって。ニコニコして。
また来てね、バイバイって。
おわり。」
「.....嘘だろ?」
「いや、本当に。」
「いやいやいや。
え、玄斗男だよね。あれ。
え?」
「ね、私くろの言葉にそういう
気持ちが混ざってないなぁって
痛感しちゃって。
私、告白しても絶対「うん。」
で終わる気がして。」
「あー。ニコニコしてな。」
「そうなの」
「俺もスキー
ハグー
ニコニコ
どうしたの?
で決まりだな。」
「だよね?!」
「おう。いきなりフレンドリーね。
うん。確かに玄斗ならあり得る。」
コーヒー牛乳をごくごく飲み干して
大きくうなずく那都君に
盛大にため息がでた。
「私、くろの恋人になりたい。
んですけど。」
「分かるよ。」
「どうしたら良いんだろう。」
「分かる、分かるよ。」
「那都君!」
「はぁーい?」
「真面目に、協力してください。」
有給を無駄にしたくない。
三杯目のコーヒーを
ウェイターに頼む那都君に頭を下げた。