kuro
目が醒めると
何故だか少しそわそわした
くろと、ココアを飲みながら
こちらに手を振る那都君がいた。
私、いつの間にか寝ていたんだ。
くろに、ごめんねと謝ると
何故か頬を心なしか赤らめて
「大丈夫大丈夫!」と
返されたのだった。
よくわからないけど
くろは放心気味だから私はフローリングにくろを残して那都君の元に歩み寄った。
するとそれに気づいた那都君が
ココアを置いた。
そしてニッコリ、いや若干にんまりした顔でこう言った。
「光さん、って言うんだね、おねーさん。おめでと。」
先に言われることほど恥ずかしいものはない。
那都君の方が一枚上手だ。
私は那都君を敵に回したくないと
つくづく思ったのだった。