kuro
玄斗君の隠し扉
※これは光がくろのアトリエに越してくるほんの少し前の話。
このマンションを買うときに
那都が僕に言った。
「ココ、本当に使わないの?」
僕はそこにかなり大きめの
絵画を立て掛けながら頷いた。
「コレ、あるし。」
コレ、とはリビングの中央に置いた
白いソファーベッドのことで、
那都はソファーベッドに
視線を一瞬向けて
面白くなさそうな顔をした。
那都が何を言いたいか分かったけれど
僕はそれを敢えて口に出そうとはせずに
いくつかの絵画をまた立て掛けた。