檻の中



「酷い飼い主ですね……。これでは、宝の持ち腐れではないですか」


 やれやれと言うように首を振り、わたしの前にひざまずくミスターB。


 助けて……くれるの?


 そんなわけないか。


 いつものように睡魔に襲われながら、わたしはミスターBの出現にも大して驚きもせずぼんやりとしていた。


 身動きが取れないのだから、じっとしているしかない。


 ミスターBが背広の内側から、ハンカチを引っ張り出すのが見えた。


 そして、わたしの口元に軽く押し当てた。


 ふわっと意識が遠のいていき、目の前が真っ暗になった……。



 消毒薬の匂いが鼻をくすぐり、わたしは束の間の眠りから目を覚ました。


 そして、すぐに違和感を覚えた。



「ひっ……!」


 手足を拘束されている上に、全裸で固い台の上に寝かされていた。


 わたしはパニックになり、必死に手足を動かそうと身体をよじった。


 ──が、びくともしない。


 頭をもたげて見回すと、手術室のような部屋にいることが分かった。


 まさか、これって……。


 胸をえぐられ、苦悶する少女の姿。


 血塗れのメスを手に、ニヤリと笑うミスターB。


 イシザキに見せられた拷問映像を思い出し、わたしは声にならない悲鳴を喉の奥から発した。


 そのとき、金属製の扉が開く音がした。




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