檻の中



「きゃああああっ!!」


 あっさり捕まってしまい、再び七福神の手に落ちた。


 今度は逃がすまいとばかりに、わたしに馬乗りになる。


 その小柄な身体のどこにそんな力があるのか……。


 必死にもがこうとするが、七福神が鋏で鎖骨辺りを突いてくる。



「うっ……!」


 わたしは痛みのあまり、地面にうずくまった。


 容赦なく首を掴まれ、鋏が大きく開くのが目に入った。


 首を切り裂こうとしている……!


 わたしは目を見開いたまま、言葉にならない悲鳴を上げた。


 ひんやりと冷たい鋏が首筋に当たった瞬間、自分の首が枝のように切り落とされるビジョンが脳裏によぎった。



「た……助けて! 裕太ぁッ」


「萌ッ……!」


 裕太の悲痛な声が頭上に降り注ぐ。



「さらばだ……お嬢さん」


 七福神がニヤリと笑い、鋏を動かす。


 両目をきつく瞑り、息を止めた。


 身体の震えがどんどん大きくなる。



 わたし、死ぬんだ……。



 半ば諦めの境地で死を覚悟した。


 そのとき、部屋の扉が勢い良く開いた。



「爺さん、勝手が過ぎるね。ジュリエットを殺したら、僕が承知しないよ」


「き、貴様は源の……!」


 ヒカルの声が聞こえたかと思うと、ヒュッと風を切る音がした。



「うぐわぁッ!!」


 七福神が叫びながら鋏を落とした。


 危うくわたしの胸に突き刺さるところだったが、何とか身をよじってかわした。



「ぐっ……ぐぐ、おのれ……小僧!」


 七福神が額に刺さった矢を抜きながら、怒りに震えている。


 鬼の形相で額から血を流すその姿に、わたしは初めて殺気と言うものを感じた。



「ヒカルくん……助けに来てくれたの? ありがとう」


 振り返って、ヒカルにお礼を言う。




「部屋にいないから捜し回ったよ。そしたら、意外な人を見つけてね」


 なぜか含み笑いをするヒカルに、わたしは首を傾げた。


 ……意外な人?



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