檻の中
焦るわたしをよそに、坂井医師はカチャカチャと金属音を立てながら器具を物色している。
そして、細長い器具と小型の内視鏡のようなものを手にした。
「これから、アナタの膣内を調べます。ゆっくり深呼吸して、力を抜いて」
「えっ……?」
わたしはショックで言葉を失った。
──そこまでやるの?
容赦なく冷たい器具を突っ込まれ、下半身に力が入る。
坂井が無表情で器具でわたしの膣を押し広げながら、内視鏡をゆっくり挿入していく。
「いっ……痛い! やめてっ……」
痛みと恥ずかしさに顔をしかめながら、わたしは検査台の上で身をよじった。
手足を拘束されていなかったら、彼女を蹴飛ばしていただろう。
「動かないで! 一番大事な検査なんだから」
坂井の鋭い声が飛ぶ。
わたしは涙を浮かべながら、唇を噛みしめた。
モニターに自分の膣内が細部まで映し出され、吐き気を催しそうになる。
ひどい……!
怒りと恐怖で身体が震えた。
坂井がわたしの体内から器具を抜き、手袋を外してゴミ箱に投げ入れた。
そしてカルテにペンを走らせていく。
わたしは半ば呆然としながら、その様子を恨めしげに見つめた。
「206番の検査が終了しました」
坂井はどこかに電話をすると、短くそう告げた。