檻の中
イシザキが部屋の電気を消し、モニター画面に映像が映し出された。
女の子……?
わたしより少し年下の、中学生くらいの少女が檻の中に監禁されている。
後ろ手に両手を縛られ、ひどく怯えた表情でこちらを見つめていた。
『お願い……助けて! 殺さないで下さい』
泣き声で懇願する少女。
よく見ると、顔にはアザや血がついていた。
わたしと同じ白いワンピースを着用しているが、それは薄汚れており、もう長らくシャワーすら浴びていないのだろう。
『ご主人様……。聞いてますか?』
『聞いてるよ。死にたくないんだよね?』
姿の見えない少女の買い主が静かに答える。
心なしか、その声は少し幼く聞こえた。
声や口調からしてイシザキではあり得ない。
彼が買った少女の拷問映像を見せられるのかとビクビクしていたわたしは、少しだけ救われたような気持ちになった。
『死にたくないです……。お願い。私を自由にして下さい』
少女は涙を流しながら、か細い声で主人に訴えた。
こんな狭苦しい檻の中に閉じ込められ、暴力を振るわれるのは恐怖と苦痛以外の何物でもない。
彼女の気持ちが痛いほど分かって胸が詰まる。
『自由かぁ……』
少女の主人がそう言ったきり、黙り込む。
……どうなるの?
わたしは胸騒ぎを覚えながら、いつの間にか画面を食い入るように見つめていた。
『自由を勝ち取るには、多大なる犠牲が伴う』
その声はゾッとするほど冷たく、少女が目を見開く。
『嫌……やめて!!』
少女が叫ぶと同時に、青い炎が画面を包み込んだ。
一瞬にして少女の髪が焼け落ち、おぞましい悲鳴と屈託のない笑い声が混ざり合った。