檻の中
暗闇の子供たち
スクールに通い始めてから一週間が経った。
わたしは緊張と不安の中、奇妙な学生生活を送っていた。
食事は昼休みの学食と、イシザキが気まぐれに差し入れする軽食や果物と言った程度。
もちろん、決して量は多くない。
空腹のあまり、夜中に何度も目が覚めることもあった。
成長期なのに……と悲しくなってしまう。
でも、このくらいの緊張感がなければいずれこの世界に慣れてしまうかもしれない。
わたしは自分が少しずつ順応しつつあることに、危機感を抱いていた。
早く出たいと願いながらも、生半可な状況が続いていることに安堵すら感じているのだ。
拷問されるくらいなら、学生ごっこをしていた方がマシだ──と。
スクールと言う名の偽りの学校に通い、洗脳された仲間とともに学び、特待生になるために日々精進する。
たとえ無意味でも、それが今のわたしの生きるべき道なのだから……。
冴子から、タウンは“仮想街”と書くのだと教えてもらった。
かそうがい……確かに、現実の街とは程遠い。
ゲームの中の虚構の世界と同じだ。
人気のないタウンは不気味だが、職員か客に会っても何の得もない。
今日も、スクールに行く途中で奇妙なことが起こった。
遊園地の前を通りかかったとき、場違いなほど明るいメロディーが聞こえてきた。
それと同時に、子供の歓声が耳に届く。
何で子供が……?
わたしは思わず足を止め、園内を覗き込んだ。
三歳、四歳くらいの小さな子供が数人、アイスクリーム片手に走り回っている。
「みんな、こっちに来なさーい。アイスクリームを落としたら、お尻ペンペンですよー!」
ピンクのエプロンを着けた保母さんらしき若い女性が、可愛らしい声で子供たちを脅す。
子供にも、お仕置きがあるなんて……。
わたしは良からぬ想像をして、ゾッと背筋を震わせた。
それにしても、この子たちは一体……。