ma cherie *マシェリ*
さらには急に体をクネクネ揺らして、声色を変えた。


「『マヒロさんが合コン行くなんて……。なんかショック……。あれ? なんであたし、ショック受けてるの……? ひょっとしてこれは……ヤキモチ? あたし、マヒロさんに恋してるの? これが恋なのね―――!』」


「やめろ。気色悪い」


オレはサキのモノマネをしながら悦に入っている望月の頭をパシンとはたいた。


「いてっ。とにかくやなぁ……」


頭をさすりながら、懲りずにまだ話し続ける望月。


「オレに任せとけって。絶対サキちゃんはお前に惚れてるねんて。この作戦は“効果絶大”……やで」


なぜか“効果絶大”のところだけ強調して、望月が耳元で囁いた。


「わかった。好きにすれば?」


こんなしょうもない計画が成功するとは思えなかったけど。

もう、どうでも良かった。

それよりもサキと王子のやり取りが気になって、オレの心臓はチクチクと針で刺されたような気分だったんだ。



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