ma cherie *マシェリ*
オレの心臓はもう口から飛び出すんじゃないかってぐらいドックンドックンと暴れている。


証拠は隠滅したはず!

シャワーも浴びたし。


いや、ひょっとしてさっきのやり取りだけで、あの女の香りがオレに移ってしまったんだろうか?


――もうカンベンしてください……。


オレは懸命に言い訳するための言葉を捜す。


「確かにハメはずしすぎだったかもしれないけどさ……。こういうことって誰でもあんだろ? 別に悪気があったわけでは……」


って、オレ、何あっさりと自白してんの!


オレって慌てると墓穴掘るタイプだったのね。



「言い訳は、聞きたくありませんっ」


サキはオレの言葉をぴしゃりと遮った。


そしてはぁ……とため息をつく。


「マヒロさんてやっぱりそういう人だったんですね」

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