ma cherie *マシェリ*
「はぁあああ?」


オレの絶叫が部屋に響き渡った。


「ちょっと待って……」


オレは眉間を押さえながらブツブツと呟く。


「アイちゃんは……藍一郎……で、女じゃなくて……男で……」


そこでハッとする。

どっちにしても男と住んでることには変わりないじゃないか。

二人の関係はどうなってんだ?

一緒に住んでるってことは、単なる友達ってわけじゃないだろ?

当然……それなりのこともしてるだろ。

いや、世の中には男女の仲を越えた友情みたいなもんもあるかもしんねーけど……。

そんなのオレ様の辞書には載ってないぞ!


一つ屋根の下で暮らしてて、エッチしないなんてありえない!(byマヒロルール)



まさかこんな形で失恋するなんて思ってもいなかったけど……。

ここはスッパリ諦めるべきか。

だけど、それならそれで、こっちにも伝えたいことがあるんだ。


「あのさ……」


オレは横目でチラチラとアイちゃん(つか、この呼び名慣れねー)を見ながらサキの方へ向き直った。


「サキ……オレ、お前に言いたいことあんだけど」


「え?」


一瞬目を丸くしてキョトンとしていたサキは、ハッと表情を変えた。


「ごめんなさい……マヒロさん」
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