ma cherie *マシェリ*
「オレがそうだって自覚したのは、高1ン時。それまでは普通に女の子が好きだって思い込んでたんだ。こういうのってさ、ガキの頃から自覚あるヤツもいるみたいだけど……オレの場合は全くなかったんだ」

へぇ……。

そういうもんなんだ。


「これでも結構モテる方でさ。それまで何人も女の子とも付き合ってたしね」


だろうな。

これだけの美少年だ。

黙っていても女の方から寄って来るだろう。



「女の子見ててさ、可愛いなとか仲良くなりたい……とかは思うんだよ。でもさ……その気になんないんだよね」


「全く?」


「うん、全く。軽いキスぐらいはノリでできるけど……それ以上は無理。いざって時にできなくて、彼女傷つけてしまったりね。泣き出しちゃった子もいたよ。で、もしかして自分はおかしいのかな……って思い始めたんだ」


そういうもんかもな。

オレだって、いくら魅力的な人物だったとしても、男にはそういう欲求を抱かない。

単純にそれの逆だっつうことだもんな。



「そんな時、彼に出会ったんだ。彼はオレの二つ上の先輩だった。彼とそういう関係になって、初めて、自分の中にあった本質に気づいた。というか、彼に気づかされた、みたいな?」


「そいつとつきあってたの?」



「うん、まぁね。けど、ちょとしたことから周りにバレちゃってね。オレらの関係……」


「えっ……」


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