ma cherie *マシェリ*
それ、オレんじゃないの?

なんて口から漏れそうになって、慌てて飲み込んだ。

後に続いたサキの言葉のせいで。


「お父さん喜ぶかなぁ……」


「はあああああ? お父さん?」


「え? そうですよ? 父の日のプレゼントなんです」


事務所の壁にかかったカレンダーをキッと睨んだ。

たしかに明後日15日は父の日だ。

なるほどね、パパへのプレゼントなのね。

って、納得してどうする!


「あの……オレ、今日誕生日なんですが……」


「ええっ」


目を丸くして驚くサキ。

っつうか、こういうこと言わせるなよー。

まぁ、知らなかったんならしょうがないか。


「ハッ……そういえば……リアナちゃんが言っていたような言っていなかったような……」


って、聞いてんじゃねぇか。



「す、すいませんっ。どうしよっ……あたしっ……」


おろおろするサキにオレは体を近づけた。


「じゃ、キスして? それで許す」
< 169 / 278 >

この作品をシェア

pagetop