ma cherie *マシェリ*
ユマの“初めて”は中学2年だ。

たしか相手は1コ上の先輩。



「男の方も慣れてないし、“初めて”は正直、あんまり良いイメージ残ってないんだよねー。
なかなか上手くいかないし、なんていうの? ある意味格闘? 痛いばっかで全然気持ちよくないし……。
わけわかんないうちに終わった途端、オカンが帰ってくるから急いで着替えろ!……みたいに焦らされてさ~。ムードもなんもなかったよ。なんか気まずくなってあの後すぐ別れちゃったしさ。
ホント、初Hって早けりゃいいってもんじゃないよ。
まぁ、あれはあれで若かったなぁ……って今となっては微笑ましいけどね」


今だったらもっと上手くやるのになぁ……と呟いて、ハハッと笑うユマ。

つられて笑うものの、あたしは苦笑い。


「はは……格闘……って。プロレス技みたいだね。なんか、生々しいんだけど」


「わっ! その反応新鮮なんだけど! ってことは、まだ?」


ユマはちょっとうれしそうに身を乗り出してきた。


あたしはピーチソーダのストローを意味もなく触りながら、フーと大きく息を吐き出してから


「まだも、何も……」


と昨夜のできごとを話してきかせた。

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