ma cherie *マシェリ*
「何だよ?」
「ん……何か照れる」
「アホ。目、つぶれ」
お互いにクスクス笑いながら、唇を味わう。
そのうちに、唇が離れる時間よりもくっついてる時間の方が長くなってきて……。
肩を引き寄せられて。
もう片方の腕は腰に回る。
唇がさっきより熱くなって。
マヒロさんが飲んだコーヒーの香りがあたしの中にも入ってくる。
よくキスが上手いとか下手とか言うけど。
あたしはマヒロさんしか知らないから、このキスがどうなのかはよくわからない。
だけど、主導権を握っているのはいつもマヒロさんで……。
あたしは余裕なんかなくて、身を任せることしかできなくて。
唇を開くタイミングもよくわかんないし、なんだかぎこちない。
ほんの少しの隙間から、ハァ……って漏れる熱い吐息ごとマヒロさんに飲み込まれる感じ。
強引に求めてくるくせに……。
からかうように舌を遊ばせて、なごりおしそうに優しく唇を離す。
何度も何度もそんなことを繰り返す。