ma cherie *マシェリ*



「何だよ?」

「ん……何か照れる」

「アホ。目、つぶれ」



お互いにクスクス笑いながら、唇を味わう。


そのうちに、唇が離れる時間よりもくっついてる時間の方が長くなってきて……。


肩を引き寄せられて。

もう片方の腕は腰に回る。


唇がさっきより熱くなって。


マヒロさんが飲んだコーヒーの香りがあたしの中にも入ってくる。




よくキスが上手いとか下手とか言うけど。

あたしはマヒロさんしか知らないから、このキスがどうなのかはよくわからない。


だけど、主導権を握っているのはいつもマヒロさんで……。


あたしは余裕なんかなくて、身を任せることしかできなくて。


唇を開くタイミングもよくわかんないし、なんだかぎこちない。




ほんの少しの隙間から、ハァ……って漏れる熱い吐息ごとマヒロさんに飲み込まれる感じ。



強引に求めてくるくせに……。

からかうように舌を遊ばせて、なごりおしそうに優しく唇を離す。


何度も何度もそんなことを繰り返す。


< 179 / 278 >

この作品をシェア

pagetop