ma cherie *マシェリ*
「あはは。ちゃんと感じてんじゃんっ」
無邪気な笑顔で、すごいセリフを言うユマ。
「かっ、感じる……って。
え……ええっ!
あたし、感じてたのかなぁ……」
首筋にそっと触れてみると、昨夜の唇の感触を思い出してしまった。
「あ~……もぉ……」
恥ずかしくなって、両手で顔を隠すと、ユマがクスクス笑ってた。
「まぁ、しょうがないよね。サキにとっちゃあ、全部が初めてなんだもんね。
うわぁ……そういう感覚、なつかしいわぁ……。
てか、なんかうらやましい。
あたしももっと大事にとっときゃ良かったかなぁ。“初めて”を」
他人事だと思って、楽しんでいるユマをうらめしく思う。
あたしはパタンとカウンターにつっぷして、顔を横に向けた。
「マヒロさん、怒ってるかなぁ……」
「そりゃ、怒ってるんじゃない?」