ma cherie *マシェリ*
「だってここまで5時間ぐらいかかるよ?
ねぇ、マヒロさんっ」
マヒロさんの腕を掴むと、やっと足を止めてくれた。
あたしはマヒロさんの前に回る。
だって、顔が見たかったんだもん。
「ほんとにそれだけのために……?」
上目遣いでそう尋ねた瞬間、スッと肩を抱かれて引き寄せられた。
頭上からマヒロさんの声がする。
「5時間かけて……」
まるで子供が拗ねてるみたいな。
まだちょっと機嫌が悪そうな……そんな声で。
「5時間かけて、会いに来たら悪いかよ?」
「えっ……」
――キュン。
あ……やばい。
なんかこの発言って……。