ma cherie *マシェリ*
ねぇ、マヒロさん。
自分の言ってる言葉の意味わかってる?
怒ってるような口ぶりだけど、全然効果ないよ?
「全然連絡つかねーし……心配すんだろ」
「マヒロさん……」
顔を上げようとしたら、マヒロさんの胸に押し付けられた。
「こっち見んなよ。
あのさ。お前がどう考えてんのか知らないけど。オレだっていっぱいっぱいだよ。
こんな感覚は初めて……っていうか。
昨日のアレは強引すぎたかな……とか、怖がらせたかなとかさ、後から不安に思うこととか、色々あんだよ」
信じられない。
オレ様なマヒロさんが、こんな可愛いこと言っちゃうなんて……。
「あー。もう、こういうこと言わせんなよ」
「マヒロさん。なんか、さっきからツンデレキャラになっちゃってるよ?」
マヒロさんの胸の中でクスクス笑ったら
「うるせー。調子乗んな」
って、コツンって頭を叩かれた。
「マヒロさん、怒ってない?」
胸から顔をあげて尋ねると。
「本気でムカついてたら、こんな遠くまでこねーよ」
って、まだちょっとぶっきらぼうな言い方。
だけど、その頬がちょっと赤くなってるのは……
夕陽に照らされてるせいだけじゃないよね?