ma cherie *マシェリ*
お母さんは駅前のスーパーでパートをしているんだ。



車の中から不思議そうな表情でマヒロさんを見ているお母さん。



「あ。えと、この人は……。大阪から、携帯を……。あれ、違う、マシェリで……えーと……」


なんて紹介すればいいかわからなくてテンパってしまう。



「ひょっとして、彼氏さん?」


お母さんは期待のこもったような、わくわくしたような表情をして、

あたし達の手をじっと見ている。


あ……手、つないだままだった。



「えっ、うん……」



うわぁ……。

親に彼氏を紹介するなんて、もちろん初めて。

まさかこんな急にそういう状況がやってくるとは思わなかった。


というか、こんなのふいうちだよー。


焦って、あわあわしてしまう。

きっと顔も真っ赤になってると思う。


すると、隣にいるマヒロさんがスッと頭を下げた。

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