ma cherie *マシェリ*
・父の想い、娘のキモチ
――カチャ、カチャ
さっきから食器やお箸の音だけが響く。
結局お母さんにゴリ押しされた形でマヒロさんはうちに泊まることになった。
そして今は夕食を一緒にとっているんだけど。
なんだか気まずい空気が流れている。
チラリとお父さんの方を見る。
よ……読めない。
お父さんが何を考えているのか。
まったく読めない。
帰宅した時、お父さんは、お母さんからマヒロさんのことを紹介された。
「サキの彼氏さん。阿久津真尋君よ」って。
だけど、顔色一つ変えなかった。
「そうか。いらっしゃい」
そっけなく答えて。
軽く頭をさげると、すぐに着替えに自分の部屋に行ってしまった。