ma cherie *マシェリ*
あたしがそう叫んだ時
「ごちそうさま」
食事を済ませたお父さんは席を立ってしまった。
きっとお風呂場に向かったんだと思う。
これもスケジュール通り。
夕飯を済ませた後、お父さんはすぐにお風呂に入るから。
お父さんが出て行った後の居間はさっきよりさらに静かになってしまった。
誰も何もしゃべらない。
気まずい空気が肩にのしかかるような感覚……。
あー……ダメだ。
なんか、泣きそうになってきた。
「あ、お茶入れなおすね。マヒロ君、ゆっくり食べてね」
何かを察したお母さんが席をはずした。
なんだか恥ずかしさとか悔しさとか色んな感情がごちゃまぜになって……
じわりと目の縁が熱くなって涙がこぼれそうになった。
スンッて鼻をすすると、横からマヒロさんが顔を覗き込んできた。
「サキ?」